国会質問録

法務委員会

○鈴木淳司委員長 次に、國場幸之助君。

○國場幸之助委員 本日は、貴重な質問の機会をありがとうございます。自由民主党の國場幸之助です。初めての法務委員会における質問であります。きのうはちょうど、かりゆしの日でありました。かりゆしというのは沖縄にとって大変めでたい言葉でありまして、そのかりゆしの爽やかさに負けないように、きょうは質疑を行っていきたいと思っております。きのうは、総理官邸におきまして、総理と官房長官の方にかりゆしウエアの贈呈式を行いました。沖縄県はいろいろな歴史を経て今日がありますけれども、その発展には多くの理解者がいて、応援団がいた、その一つの象徴がかりゆしウエアの日の制定だろうと思っております。ですから、きょうも、この法務委員会におきましても、かりゆしウエアを着ていらっしゃる方もいらっしゃいますが、その精神というものを大事にしていきたいと思っております。それでは、本題に入りたいと思います。沖縄におきましては、さきの大戦におきまして多くのとうとい命が失われました。今も戦後が終わっていない、そういう言葉も残っております。例えば御遺骨の収集作業、これも今日も継続をしております。さらには不発弾の処理作業、これは毎日数件の不発弾の処理が今も陸上自衛隊によって行われておりまして、彼らは全て、みずからの志願によって担われております。あと七十数年かかるとも言われております。その終わらない戦後処理の一つとしまして、さきの大戦におきまして多くの行政関係の資料がなくなってしまいましたので、土地の権利関係、所有関係というものも長らく解決されないままとなっております。そこでまず、伺いたいのは、地籍明確化の作業の進捗でございます。所有者はわかっているけれども、境界が定かではないという問題でございます。大戦における多くの破壊、そして米軍による土地の形質の変更、または土地の登記簿等が消滅をしておりますから、境界というものが不明である地域が大規模に存在しました。そうなりますと、これらの土地につきまして、相続や売買等に当たって土地の分筆等もできず、土地が米軍から返還され、政府から所有者に返されたとしても、経済的、社会的な通常の利用というものが著しく制約をされてしまいます。昭和五十二年の地籍明確化法の制定より、大分調査も進みました。しかし、現在も一部残っております。具体的には、土地の所有権そのものはわかっておりますが、借地料も入ってきておりますけれども、境界線がはっきりせず、登記もできないので売買ができないということを地元の方からの訴えで知りました。そこで、この問題についてお尋ねしたいと思います。特に、自衛隊や米軍の基地内における土地の地籍明確化の作業でありますけれども、この部分は防衛省が担当されていると伺っております。まずは現状への認識、そしてまた最新の現状について伺いたいと思います。

○深山延暁政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、沖縄県におきましては、さきの大戦によりまして公簿、公図が焼失するということが起こりますとともに、戦争自体による破壊、そして米軍による土地の形質変更等によりまして、土地の位置境界が不明な区域が広範囲に存在しておったところでございます。これらの位置境界不明地域について、昭和五十二年に御指摘の位置境界明確化法が制定されまして、その明確化を図ることとされました。そして、位置境界不明地域のうち駐留軍施設用地及び自衛隊施設用地については、旧防衛施設庁が、現在は防衛省でございますが、担当いたしまして、地図の作成、位置境界の確認等、作業を行ってきたところでございます。その結果、返還された施設も含めまして三十六防衛施設に係る対象地域の面積約百十七平方キロメートルのうち九九%に当たる約百十六平方キロメートルにつきまして、位置境界明確化措置が完了したところでございます。防衛省といたしましては、残りの一%の対象地域について位置境界明確化措置を完了させるために、土地所有者の御理解を得られるように今作業しておりますし、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。

○國場幸之助委員 よろしくお願いします。もう一つ、土地に関する問題としまして、土地の所有者が登記簿上も不明であるという土地の存在でございます。これらの土地につきましては、復帰特別措置第六十二条におきまして、宅地や原野等は県、そして墓地や霊地や聖地等は市町村がそれぞれ管理することとされております。調べたところ、現在、県や市町村を合わせまして二千七百十筆の、沖縄戦による所有者不明の土地があるとのことです。その面積は九十万平米、東京ドーム二十五個分にも及んでおります。また、この土地の利用による借地料などの収益は各自治体がそれぞれ管理しており、県の今年度予算では一億二千万ほどとなっております。この予算は、この土地の管理に関して、緊急の場合以外は使われておりません。例えば、管理する土地にある岩が隣接する土地に落下しそうになったときに、その対策として使ったことがあるとのことにとどまっております。所有者が判明したときには、積み上げていた予算からお返しをすることとなっております。しかし、実際に所有者であると名乗り出る方がいた場合にはどういう対応になるのか、県に確認をしますと、原則的な対応としては訴訟をお願いしているとのことであります。つまり、行政で責任を持って土地の所有を判断することができないので、司法に任せているという現状があります。しかし、訴訟を起こさなければならないとなりますと、名乗り出た方にとっても、訴訟のコストや時間がかかります。そもそも、公的な書類等が戦争によって焼失をしておりますので、訴訟にたえ得るような証拠をそろえるということは極めて困難であるという状況であります。また、敗訴をするリスクも高いわけでありまして、地元の土地家屋調査士や司法書士、弁護士等に伺ったところ、ほとんどの方が諦めているのではないのかということでありました。実際、二千七百十筆の土地がある中で、これまで訴訟が提起をされた件数は十件程度、その中でも、最終的に所有者として認められた土地は数件にしかなりません。そこで、法律を所管する内閣府にお尋ねをします。沖縄戦によって所有者が不明となった土地について、政府としてどのように取り組みを今後していくのか、その予定も含めまして、御答弁をお願いします。

○槌谷裕司政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、さきの大戦で地上戦にさらされた沖縄におきましては、所有者不明土地が大変多くございます。内閣府におきましては、平成二十四年度から、現地での測量などの現状把握あるいは隣接地での聞き取りなど、その実態について鋭意調査を行っているところでございます。所有者不明土地に起因してさまざまな問題が生じておりますので、その解決に向けて、まずはこうした調査を早急に完了させることが重要であると考えております。その結果に基づきまして課題を抽出、整理いたしまして、必要な措置について検討してまいりたいと存じております。

○國場幸之助委員 今から六年前なんですけれども、県の方で所有者不明土地検討委員会というものが開催されました。その中で、根本的な解決として、特別法の必要性というものも提言されております。まず、所有者を捜すために、全額国費で関係者や隣人などに徹底的に調査をしていく、それでも所有者が見つからない場合は、現在管理をしている県や市町村の所有に変えていく、さらに、所有者が明らかになった時点では、補償の措置がとれる体制を国の責任でつくるということが提言されております。きのうの質問取りの段階でも、意見のやりとりの中で感じたことでありますけれども、もはや、もう戦後七十二年、沖縄県の祖国復帰から四十五年がたっております。これまで以上に関係者や所有者であるという証拠を見つけることはますます困難になっており、いまだに東京ドーム二十五個分の土地について、しかも、所有者が見つかった際には、すぐに原状回復ができるような用途にしか使えないというさまざまな規制や制限というものが加わっております。民法の問題も複雑に絡んでおります。つまり、通常の法律の枠組みでは、この沖縄における戦後処理の問題というものを解決することは困難であると考えます。これは、各種団体からも長年、同様の趣旨の要望が繰り返しありました。冒頭申し上げたように、これは戦後処理の問題でありまして、この問題の解決なくして沖縄の戦後も終わらないと考えております。そこで、法務省にお尋ねします。  沖縄の所有者不明の土地の問題について、現在対策が議論されている所有者不明の土地とはまた根本の違う課題、問題というものが沖縄に残されているということを踏まえた上で、この問題解決に対する、法務省としてどのようにかかわっていくのかについて答弁をお願いします。

○小川秀樹政府参考人 お答えいたします。沖縄県の土地につきましては、沖縄戦によって公図、公簿などの記録が焼失したため、戦後、所有権の認定作業や地籍調査が実施されたところですが、これらの作業などの際に所有者を確認できない土地、これが所有者不明土地とされました。こうした所有者不明土地は、戦後、琉球政府が管理することとされ、沖縄の本土復帰後においても、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づき、当分の間、従前の例に準じて、沖縄県または市町村が管理することとされているものと承知しております。先ほど内閣府から、この問題の解決に向けて、まずは実態調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を検討する旨の御答弁がございました。法務省といたしましても、これは民事基本法制を所管する立場から必要な協力をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

○國場幸之助委員 ぜひよろしくお願いします。続いて、成年後見制度の利用促進について何点かお尋ねしたいと思います。日本という国は、OECD諸国の中でも、六十五歳以上の人口が全体の四分の一を超える唯一の国であります。その一方で、十五歳未満の人口が一二%台しかない。これは日本とドイツしかありません。超少子超高齢の社会となっております。おのずと認知症の方々も急速にふえてきておりまして、今四百六十万人、そして二〇二五年には七百万人にもなると言われております。成年後見制度の活用、普及というものが急速に求められておりますけれども、利用者は現在十八万人程度にとどまっております。ドイツでは、人口が日本の六割にすぎないにもかかわらず、利用者は百三十万人、人口比でいえば日本の十二倍の利用率となっております。そこで、利用の促進について残されている課題について何点かお尋ねしたいと思います。まず、根本的な制度の部分でありますけれども、成年後見人制度は、一方で、本人に判断能力がないということを制度利用の前提にしながら、もう一方で、本人の意思に配慮することが求められているという、いわば矛盾するような部分を指摘する声があります。本人の意思を尊重した決定を支援するとしながら、例外的な代行決定制度を残すか否かという問題です。本来、代行決定の制度としてつくられたものが、突然、意思決定支援の制度と説明される。この曖昧さが端的にあらわれているのが、基本計画に書き込まれた、「医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討」でございます。工程表を見ますと、平成三十一年度までに、「現場において関係者が対応を行う際に参考となる考え方の整理」、それを踏まえて、平成三十一年以降、「参考となる考え方の周知、活用状況を踏まえた改善」ということになっておりますが、改善とは、考え方を改善するのか、周知の方法を改善するのかという言葉がはっきりせず、方向性が見えません。既に海外では、一定の制限のもとに、後見人の立場の方がある程度の判断を下すことができるという制度もつくられております。この工程表では、課題として指摘されたが、結論を出すことを避けているという印象も感じてしまいます。結果として、医療関係者と自己決定支援、それぞれの立場から、現場で悩み苦しんでいる、努力をしている方々の課題を解決しようという姿勢が伝わってこない、そういう印象でございます。少なくとも、この工程表の結果、現場の努力が報われるという将来像が見えなければなりませんが、最後に、厚生労働省にこの点に関する見解を伺いたいと思います。

○山本尚子政府参考人 お答えいたします。先生御指摘のとおり、本年三月二十四日に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画では、成年後見人が、医師など医療関係者から意見を求められた場合に、他の職種や本人の家族などと相談し所見を述べること、または所見を控えることが社会的に受け入れられるような合意形成が必要というふうになっております。先生の御質問、大変重たい質問といいますか、現場で直面している大きな問題だと思います。ただ、成年後見制度利用促進委員会の有識者の中でも、この問題については、なかなか簡単にルールを決めることが難しくて、患者さんの命あるいは健康に直接かかわる重たい問題であって、どのような形で意思決定を支援していくのかということについてさまざまな意見を交換し、また社会的な合意づくりが必要だという御意見をいただいております。その意味で、先生御指摘がありましたとおり、まず実態調査を行い、その結果を踏まえて、先ほどお話がありましたとおり、関係者の参画を得た上で、関係者の参考となる考え方の整理をお示しし、また国民の中での議論あるいは社会づくりをつくりながら制度をつくっていく必要があるのかなというふうに考えております。

○國場幸之助委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。