国会質問録

財務金融委員会

○宮下一郎委員長 次に、國場幸之助君。

○國場幸之助委員 自由民主党の國場幸之助です。財務金融委員会で初めての質問の機会をまことにありがとうございます。経済再生により財政再建を目指すアベノミクスの実績と評価は確かなものがあると思います。その上で、二〇二〇年度までにプライマリーバランスの黒字化を実現するための取り組みについてお尋ねをしますが、名目三%、実質二%の経済再生ケースでも六・五兆円の赤字が残ります。大変困難な目標であると思いますけれども、PB黒字化の実現のためにどのような取り組みをしていくのかをまずお尋ねします。     〔委員長退席、松本(洋)委員長代理着席〕

○麻生太郎国務大臣 いわゆる財政の健全化につきましては、この安倍内閣におきまして、この三年間の取り組みによって、少なくとも、平成二十七年度におけるいわゆる基礎的財政収支の赤字半減目標と言われたものは、まず達成はされないだろうと言われた方の方が多かったんですが、現実問題としては達成できるということになりました。着実に成果が出てきているんだと思っております。また、内閣府の中長期試算で、今言われたような、名目三%、実質二%の高い成長率を前提としてもなおかつ二〇二〇年度において六・五兆円の基礎的財政収支に赤字が立っておるということも確かであります。こうした中で、政府としては、成長戦略というものをこれは確実に実施していくことで引き続き経済再生というものに取り組んでいく、経済成長を含めまして経済再生に取り組んでいくと同時に、経済・財政再生計画に示されております目安、目安が立ててありますので、改革工程表に基づく歳出改革を実行する。そして、その進捗度合いというものは二〇一八年度の時点で評価をし、必要な場合には歳出歳入の追加的な対応というものを検討するなどなど、こういった問題にきちっと対応することによって、プライマリーバランスの黒字化、基礎的財政収支を二〇二〇年度までに黒字化するという方針を、私どもとしては頑張ってこれを達成させたい、そう思っております。

○國場幸之助委員 日本経済が名目三%、実質二%という経済成長実績を最後に達成したのは平成三年、今から約二十五年前です。ちなみに、次年度の税収は五十七・六兆円と、こちらもまた二十五年ぶりの高水準を達成しております。今回の成長目標を達成するためには、先ほど来議論にありますけれども、潜在成長率を高めることが必須であると思います。ちなみに、日本銀行の潜在成長率推計は今わずかに〇・二三%しかありません。内閣府は〇・四%と見積もっております。民需主導の成長戦略や、午前中の質疑にもありましたように、生産性の向上など課題は山積しておりますけれども、有効求人倍率や失業率など、雇用に関する統計は大幅に改善しております。それであるがゆえに、その一方で、地元を歩いて最も切実な訴えの一つとして聞こえてきますのが、求人しても人が集まらない、人手不足であるという声であります。今、お手元の方に、OECD諸国の高齢化率、若年年齢率のリストをお配りしておりますけれども、この中で、日本という国は顕著な人口構造になっておりますが、OECDの三十四カ国のうち、六十五歳以上の人口比率が二五%を超えている国は日本しかありません。その一方で、十五歳未満の人口比率が一二%台しかいない国というものも、日本とドイツしか今は存在しておりません。ドイツの方は、先ほど木内委員も質疑に立っておりましたけれども、人口約八千万人のうち、一二・八%から約二〇%は外国人や移民の出身で、その中でも、保護申請者の約五割は十八歳から三十四歳と、若い外国人を受け入れることにより人手不足に対応しております。ちなみに、日本の方は在留外国人が一・七%と、世界百九十五カ国のうち百五十一位と異様に低い実情でございます。私は、安易な移民や外国人の受け入れには慎重であるべきだと考えております。その上での質問ですが、労働力不足が日本経済の成長に与える影響と、今後どのように経済の担い手不足に対応し、潜在成長率の向上に資していくのかを示してください。     〔松本(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

○広瀬直政府参考人 お答え申し上げます。委員から御指摘ございました、人口減少社会のもとで持続的な成長を実現していく上で、供給面での制約、これを打破するためには、まさに企業や個人の潜在力を最大限発揮させるような生産性革命、これを実現することが非常に重要だというふうに思ってございます。こうした生産性の向上を図るためにまさに最大の鍵は、民間投資の拡大と活性化というふうに考えてございます。設備、技術、人材、そういった投資など、質と量を兼ね備えた前向きな投資の拡大を図りますとともに、イノベーションの創出によりまして付加価値の向上を図ることが重要だというふうに考えてございます。そうした観点から、成長戦略のもとで、企業の稼ぐ力を向上させるためのコーポレートガバナンスの強化、あるいは法人税改革、また、IoT、人工知能、ロボットといった先端融合分野での投資を促進する研究開発支援とか規制・制度改革、あるいは、人材面で申しますと、大学のイノベーション創出力を強化するための大学改革とか、あるいは、サイバーセキュリティー対策の徹底、IT利活用の推進、さらには、女性、高齢者、高度外国人、こうした人材の活用の促進とか、あるいは、生産性の向上に寄与する働き方改革、さらには、農業、医療、エネルギー、こういった分野での岩盤規制改革、こういった取り組みを進めているところでございます。  今後、こうした成長戦略に盛り込まれました取り組み、これを着実に進めていきますとともに、成長戦略をさらに進化させまして、潜在成長率の向上を図っていきたいと考えております。

○國場幸之助委員 済みません、質問の順番を一部変えて質問したいんですが、法人税改革について質問したいと思います。過去最高の企業収益、内部留保があるにもかかわらず、設備投資や配当や賃金に反映されていない、そういう声が、委員会の中でも質疑が続いております。法人税の先行減税分というものは、さらなる内部留保の増大のためではなく、設備投資や技術開発や賃金の上昇、配当につなげ、経済の好循環を実現するのが目的であります。その目的達成のための取り組みについて明らかにしてください。

○坂井学副大臣 御指摘のとおり、企業の内部留保、三百五十兆円を超えているということでございまして、手元資金もふえている状況でございます。経済界がマインドを変えていただいて、賃金の引き上げや投資拡大に積極的に取り組んでいただくことが重要だと考えております。今回の法人税改革を行って、また、こうした改革を行っても、もうかっている企業がさらにお金をため込むというようなことでは意味がないのでありまして、その点、麻生大臣からも、政府を代表して、官民対話や経済財政諮問会議などのさまざまな機会で繰り返し申し上げてきているところでもございます。これに対応していただくような形で、与党税制改正大綱に関するコメントといたしまして、例えば昨年十二月十六日の榊原経団連会長のコメントとしては、今回の法人実効税率が二〇%台に引き下げられることを歓迎するとした上で、設備投資等の増大、雇用の拡大、賃金のさらなる引き上げに積極的に取り組みを進めるとしているなど応えていただきまして、企業が賃金引き上げ、投資拡大を積極的に進めていこうとする姿勢があらわれてきているように考えておりまして、これらに期待をすると同時に、よく見きわめてまいりたいと考えております。

○國場幸之助委員 その上で質問したいんですが、昨年、経団連が提言書を提出しております。財政健全化計画の策定に向けた提言という内容なんですが、その中に、企業は賃上げをするものの、社会保険料の負担増で賃金を相殺してはいないかという問題提起が含まれておりました。具体的には、従業員五百人以上規模の事業者を対象にした調査を行った際に、現金給与総額の増加分の約六五%は社会保険料の負担分の増加により相殺されているという内容でした。今の日本の社会保障制度は、現役世代の保険料で給付を賄うという賦課方式でありますから、これだけ極端な人口構造下における社会保障制度設計では、企業が賃金を上昇したとしても、社会保険料の上昇で従業員の手取り分がふえないという構造的な要因があります。しかも、社会保障給付費自体が経済成長率を上回るペースで上昇している現状下で、従業員がアベノミクスの成果を実感できるくらいの所得の向上を企業が実現させていかなければなりませんけれども、そのための環境づくりにどのように取り組んでいくんでしょうか。

○武田俊彦政府参考人 お答えいたします。社会保険料についての御質問がございました。社会保険料の事業主負担分でございますけれども、社会保険制度により、事業主も利益を享受すること、企業の社会的責任として御負担いただくこと、そういった観点から御負担をいただいているものでございますけれども、御指摘のように、賃金の引き上げ、また、企業の競争力などの観点から考えますと、この負担水準につきましては上昇を可能な限り抑制していく、そういった観点に配慮することは重要なことと考えているところでございます。具体的に申し上げますと、厚生年金の保険料につきましては、現在一七・八二八%でございますが、平成二十九年度以降は一八・三%に固定し、これ以上引き上げないこととしております。また、健康保険料におきましても、例えば中小企業が加入する協会けんぽの保険料率につきましては、平成二十四年度から一〇・〇%の横ばいで推移ということで、私どもの医療費適正化努力の反映ということではないかと考えてございます。また、雇用保険につきましても、現下の雇用情勢、雇用保険の財政状況などを踏まえまして、現在一・〇%の失業等給付の保険料率を来年度から〇・八%に引き下げるべく、法案を今国会に提出しているところでございます。今後とも、企業にとりまして、また被保険者にとって過重な保険料負担にならないよう、効率的な社会保険制度の構築などに努めてまいりたいと考えております。

○國場幸之助委員 法人税は三割の企業しか払っておりませんけれども、社会保険料は一〇〇%払います。社会保険料負担金は今後経済成長率を上回って増加するのは、先ほどの人口の資料を見ても明らかでございますので、政府が企業に賃上げを要請する際にも、社会保険料負担の増加とのバランスも踏まえて対話を重ねていただきたいと思います。続きまして、中長期の経済財政に関する試算について質問をします。内閣府の最新の中長期の経済財政に関する試算では二〇二四年度までの試算となっておりますが、二〇二四年度までに期限を区切っているのは何か意味があるんでしょうか。また、二〇二四年度以降の債務残高の対GDP比率はどのようになっていくのかについてお尋ねをしたいと思います。

○井野靖久政府参考人 お答えをいたします。内閣府の中長期試算で二〇二四年度までの試算結果となっている理由でございますが、政府といたしましては、骨太方針二〇一五に基づきまして、二〇一八年度の国、地方の基礎的財政収支の赤字の対GDP比一%程度を目安とするとともに、二〇二〇年度には国、地方の基礎的財政収支を黒字化することを目標として、経済と財政双方の一体的な再生に取り組んでいるところでございます。内閣府の中長期試算は、この目標に向けた改革の進捗状況を点検することを目的としておりますことから、この目的に沿った範囲といたしまして、二〇二〇年代前半までの十年間程度の期間をとって試算をお示ししているところでございます。それから、二〇二四年度以降の債務残高GDP比がどうなっていくかということでございますけれども、これにつきましては、試算をしてございませんのでお答えすることはできませんけれども、いろいろな仮定に基づきまして姿が変わってくるものと考えてございます。

○國場幸之助委員 本来でありましたら、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年以降の見通しというものが極めて重要であると考えます。経済成長より常に社会保障の伸び率というものが上回ると予測されるからであります。もちろん、二〇二〇年度までのPB黒字化の目標達成というものが緊急の課題ではありますが、企業や国民というものが今不安に感じているのは、将来先行きが見えないこれからの日本の将来というものを、従業員一人採用するにしても人の人生を預かるのが企業の役割でありますので、中長期の見通しというものを当然示すべきだと思いますけれども、その点に関しての答弁をお願いします。

○井野靖久政府参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたとおり、内閣府の中長期試算は、政府の基礎的財政収支の黒字化等の目標に向けた改革の進捗状況を点検することを目的としておりますことから、十年間程度の期間での試算をお示ししているところでございます。それで、目的に沿った範囲を超えた期間について試算を行うことにつきましては、より将来の期間について試算をするにつれまして種々の不確実性が増していくこともあり、基本的には適切ではないというふうに考えているところでございます。なお、現在十年間程度の試算期間をお示ししておりますけれども、来年度以降におきましても十年間程度の試算期間は確保することとしたいと考えているところでございます。

○國場幸之助委員 済みません、時間の都合で質問を大分飛ばさせていただきます。申しわけありません。軽減税率について、二点お尋ねしたいと思います。まず、来年の四月から導入が計画されておりますけれども、その対応というものがどのようになっているのか、事業者、約一年少しでありますけれども、取り組みの内容についてお聞かせください。

○豊永厚志政府参考人 お答え申し上げます。中小企業庁としましては、消費税の軽減税率制度の導入時に事業者の現場で混乱が生じないよう、関係省庁とも密接に連携し、影響を受ける中小企業、小規模事業者の準備に対する支援に全力で取り組むことといたしております。このため、まず平成二十七年度補正予算に基づきまして、軽減税率制度の内容や対応策について十分な周知、広報を行うため、関係省庁や主要な中小企業団体と一体となって、パンフレットの配布、説明会や講習会の開催といった取り組みを行っております。また、本年度の予備費を活用しまして、中小の小売事業者等に対しまして、複数税率に対応が可能なレジの導入等を補助するとともに、電子的な受発注を行っている中小の小売事業者、卸売事業者に対して、複数税率に対応するために必要なシステム改修を補助することといたしております。これらの作業はかなりの数の中小企業、小規模事業者を対象とすることになろうかと考えますが、十分な支援体制の整備や支援制度の簡素化を図り、来年四月の制度導入に向けて、関係者一丸となって取り組む所存でございます。

○國場幸之助委員 今、中小企業庁より答弁いただきまして、ありがとうございます。前回のこの委員会の答弁の中で、対象品目が曖昧であるとか、軽減税率の導入や運用に伴う不明な点があれば所管の税務署に問い合わせてくださいという政務官からの答弁がありましたけれども、一般の事業者は、やはり税務署との接触というものに心理的な不安というものも感じると思います。ですから、匿名で、いろいろな軽減税率に関する問い合わせの窓口や、中小企業のなじみのある商工会や税理士さんとか、そういったところとの連携も必要であると考えますので、よろしくお願いします。そして、免税事業者はインボイスを発行できませんので、仕入れにかかった消費税分を肩がわりしたくないという理由で、BツーBの取引というものが排除される危険性があると思います。その点に対する対策というものを最後にお尋ねしたいと思います。

○大岡敏孝大臣政務官 國場議員にお答え申し上げます。沖縄のさまざまな中小企業を想定しての声を受けて御質問いただいているんだと思います。御案内のとおり、インボイス制度につきましては、インボイス制度導入後六年間は、一定の仕入れ税額控除を認めるなどの経過措置を講じております。この間に自分たちの業態をよく見きわめていただいて、免税事業者がインボイス制度に乗るのか、あるいは今までどおり免税事業者としてやっていくのかを見きわめていただくことになろうかと思います。これは、個々の取引の内容によって、一般の消費者に売られている場合と、まさにBツーBで会社に納めている場合とによっても違いますし、例えば沖縄でしたら、日本人相手に売っている場合と外国人の観光客にお土産を売っている場合とでも恐らく変わってくるかと思います。今後、こうした影響や軽減措置の適用状況等を検証しながら、必要な対応をしっかりと行ってまいりたいと思っております。以上でございます。

○國場幸之助委員 ありがとうございました。