国会質問録

国土交通委員会

○梶山弘志委員長 次に、國場幸之助君。

○國場幸之助委員 自由民主党、沖縄一区の國場幸之助です。先ほどから奄美振興を沖縄並みにという発言が相次ぎまして、非常に居心地の複雑な時間が続いておりますけれども、私は、ちょうど沖縄が本土に返還をされました昭和四十七年生、復帰の世代であります。奄美でも、昨年、復帰六十周年でありましたが、昨年の朝日新聞によりますと、奄美の方で復帰の世代に生まれた、「ふきこ」さんと名づけられた女性の方がいらっしゃる、このような報道がなされておりました。歴史の節目に私も沖縄で生をうけて日本人として人生を歩んでおりますけれども、その気持ちは奄美も小笠原も同じでございます。そういう同じ気持ちを共有したということも含めて、奄美と小笠原の振興のために精いっぱいに質疑をやっていきたいと思います。今回の質疑に当たりまして、奄美群島復興特別措置法を最初に議題とした昭和二十九年の連合審査会の議事録と、小笠原諸島復興特別措置法案の審議が始まった昭和四十四年の地方行政委員会議事録を読みました。戦後二十四年間の米軍統治時代、ほとんど無人島に近い状態で放置をされていた小笠原諸島と、日米両国政府から顧みられることがなかった奄美の八年間の米軍による統治期間を経た直後は、極度に荒廃していたがゆえ、当時の法案提出者の一人である山中貞則先生の言葉を引用すれば、振興以前のいわゆる復興から手がけなければならないくらい深刻であったということが議事録に残されております。そして、格差の是正や産業振興、定住人口の促進など、今に続く課題が当時から指摘されていることに、奄美、小笠原の抱える問題解決の困難さを再認識させられました。私の選挙区も、久米島、渡名喜、渡嘉敷、座間味、慶留間、阿嘉、粟国、北大東、南大東と、多くの有人離島と無人離島を抱えております。地上戦や米軍上陸地、そして米軍統治といった、奄美、小笠原に類似した歴史的背景を沖縄も持ちますが、沖縄県民が忘れてはならないことは、戦後沖縄の発展に多くの奄美出身者が多大な貢献をしていただいたという歴史的事実であります。そんな先人への感謝も込めまして、質疑に入りたいと思います。今回の奄美、小笠原の質疑に当たりまして、私も、奄美の多くの友人、知人にヒアリングをしました。その際に、多くの委員からも同様の指摘がありましたが、やはり、航空運賃と農業の輸送費のコスト支援と、そして定住人口をいかに実現していくのか、その三つが非常に大きな、最大公約数の要望であったと思います。鹿児島の屋久島は、平成五年に世界自然遺産に登録されて以来、お手元の資料にもありますけれども、観光客が飛躍的に伸び、定住人口も安定しております。平成二十三年に世界自然遺産に登録をされた小笠原諸島も、前年度に比較をしまして一・六倍も観光入域が伸び、人口も増加の傾向があります。奄美・琉球も平成二十八年度に世界自然遺産登録を目指していますが、世界遺産は、観光産業の振興や定住促進に資するのみではなく、奄美の人々に誇りと希望をもたらすと信じております。その意味でも、奄振法の改正の中で産業振興促進計画認定制度を創設し、通訳案内士の特例や旅行業法の特例を盛り込んだのは時宜を得た内容だと思います。そして、奄美群島振興交付金で、離島住民の県内路線と旅行者の群島内路線の航路・航空路運賃の逓減を支援メニューに入れたことも前進であると評価しますが、それでも、島外からの観光誘客を推進する際、また島民が都会に行く際の航空運賃が依然として高いという声は根強く、さらなる軽減措置を求める声は切実であります。世界自然遺産登録を目前としまして、航空運賃軽減のためにどのような取り組みを図っていくのか、そのお考えをまず冒頭にお聞きしたいと思います。

○坂井学大臣政務官 委員がお話をされました今までの背景なり現状を踏まえながら、産業の一つとして、観光一つとりましても、やはり、奄美・琉球という世界自然遺産登録は大きなきっかけにはなりますが、ネックとして指摘をされておりますのが航空運賃の高額なところでございます。それはもう間違いない大きな課題だということを認識いたしております。今回の交付金を使っていただいて、今、鹿児島県でも検討いただいておりますが、実質的に航空運賃を下げるキャンペーンをしていただいて、観光キャンペーンをしっかりやっていただくということをやっていただきながら、その状況も見させていただく。そして、この次の段階の課題として、これらの問題も引き続き検討させていただきたいと思っております。

○國場幸之助委員 ぜひともよろしくお願いします。続きまして、これも多くの委員から指摘がありましたけれども、農業の輸送コストの軽減に関してでございます。人口と市場が極めて限定された離島にとりまして、観光産業と並んで重要な島嶼経済政策が、地場の農林水産物や特産品などを県外市場に展開することであります。今回、二十一・三億円の奄美群島振興交付金が創設をされ、その中で農林水産物の輸送費支援が実現されたことは、非常に大きな前進だと思います。しかし、沖縄県の一括交付金における輸送費支援でも指摘されておりますが、一次産品の輸送費支援は可能でも、農林水産の加工品は、輸送費支援の対象にはなっておりません。産業の限られた島嶼地域において、農林水産加工品の輸送費支援は、産業力強化の極めて重要な支援策であり、地元から要望が強い内容でもございます。奄美群島振興開発審議会の意見具申においても、高付加価値型の農業の進展を図り、その地域ブランド化や農産品を生かした六次産業化を図り、就業者を確保する必要性が強調されております。その具体的な措置が、農林水産物の加工品にも輸送費支援を実現することであると考えますが、改めて見解をお願いします。

○花岡洋文政府参考人 お答え申し上げます。当面どういう制度になるかということ、さらに将来にわたってどういう認識でいるかということについては、るる御説明したとおりでございますので繰り返しませんけれども、きょういろいろお話を聞いておりまして、特に今委員が御指摘されました六次産業化ということについては、非常に重要な切り口を御提案いただいたなといったふうに思っております。やはり、農林水産物を裸で出荷する場合と、ある程度加工して出荷する場合では、価格に対する発言力も大分違ったものになってまいります。そういった意味で、御指摘いただきました六次産業化というものを進めるべきじゃないかといったような観点も含めまして、引き続き加工品の支援のあり方について検討させていただきたいといったふうに存じます。

○國場幸之助委員 農林水産物の加工品に関しては、沖縄県は、対象品目は五十品目ありまして、一括交付金を活用し、昨年スタートしているんですけれども、やはりこれは、奄美、沖縄の共通の課題として強く要望したいと思いますので、実現に向けた取り組み、これは多くの議員からも指摘がありました。切実な訴えでございますので、実現に向けての真摯な対応を強く要望します。続きまして、定住人口をいかに促進するかについてでございますが、今回の改正案の注目すべき点は、法律の基本理念に定住の促進を図る旨を明文化したことであると思います。私は、これからの奄美振興と定住促進策には、格差の是正という従来の政策目標と農林水産業と観光とICTに加え、もう一つ、プラスワンの発想が必要だと思います。例えば、沖縄県の竹富町、西表島には東海大学の沖縄地域研究センターがありまして、海洋に関するさまざまな研究教育プログラムを毎年二千人から三千人が利用し、交流と定住に一翼を担っていると聞きます。全国で最も出生率の高い奄美地域の若年人口の流出をとめるためには、例えば高等教育機関の活用など、さまざまな環境整備が必要であると考えますが、大臣の見解と申しますか、アイデア、知恵、インスピレーションというものをお聞かせいただければ幸いでございます。

○太田昭宏国務大臣 突然なかなか湧かないんですけれども。今御指摘になりましたように、出生率が高い、しかし、高校を出ると九割の人が出ていく、それは職場が、仕事がない、こういうことだと思います。そこで、研究施設とかそうしたことは極めて重要なことだというふうに思っていまして、今、奄美においても、奄美大島南部に近畿大学の水産研究所の実験場があったりしますが、そうしたことを行うのと、先ほどから言っているインキュベーターでも、ITが非常に盛んになるという方向性があって、どうして奄美に来てこういうことをやっているんですかと言うと、スキューバダイビングを昼間思い切ってやって、それで仕事も環境のいいところでする、自然と接触して、それで仕事があるという、これは若者だというふうに思います。そうした、海もきれいで泳げるし、スキューバダイビングもできるということとあわせて研究とか仕事ができるというようなことをもっとアピールしていくことも大事なことだというふうに思います。観光はもちろん大事で、案内してくれる人は若い人が多いと思いますので、いろいろな意味で定住人口が確保できるように、人口流出をしないようにということの手だてをしていくために、今回の交付金を初めてつくったということを含めて、いろいろ研究をしたいというふうに思っております。

○國場幸之助委員 最後に、奄美に関しての質問なんですけれども、これは杉本委員からも指摘がありましたが、これからの五年間は、奄振法の延長、改正の期間に奄美・琉球が同時に世界自然遺産に登録される動きがあります。私は、このことを契機としまして、もっと奄美と琉球の交流事業というものを深めたいと考えております。例えば沖縄県には、沖縄本島へ観光に来た方を離島の方に、離島観光に促すような支援事業というものがありますけれども、県の観光課の方に、このような、本島に来て離島を回るとすれば、沖縄県内離島だけではなく、奄美の方も、世界自然遺産に登録されるのを契機にどうにか交流できないか、そのような提案をさせていただいております。奄美の予算、沖縄予算と枠はもちろん違いますけれども、琉球弧という、かつて琉球王国の同じ歴史的な歩みも持っておりますし、沖縄の文化、歴史、自然、亜熱帯ということも含めて、非常に類似性が高い地域でありますから、沖縄は人口はおかげさまでどんどんとふえてきております。奄美との交流共同事業、これは観光であるのか、さまざまなものがあるかと思いますけれども、その際には、国としましても、さまざまな御支援を要望したいと思います。続きまして、小笠原諸島に関する振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について質疑をします。これは海洋基本計画との関係の中で質問をしたいわけでありますが、小笠原諸島の海域、EEZの三割を占めており、南鳥島や沖ノ鳥島といった大変重要な島々も含まれているわけでございます。この広大な海域、そして小笠原諸島の保全管理を実現、今後も維持していくために、海洋基本計画に基づいて、国が具体的にどのような取り組みをしているかの内容についてお尋ねをします。

○長田太政府参考人 お答え申し上げます。先生御指摘の小笠原諸島の周辺には広大なEEZが存しておりまして、EEZの基点となります低潮線を保全するということは重要でございます。そのために、低潮線保全法に基づきまして、低潮線周辺を低潮線保全区域に指定しておりまして、この区域に指定されますと、人為的な損壊を未然に防止するために、海底の掘削、土砂の採取、あるいは施設、工作物の新設等の行為を原則禁止しているところでございます。この地域につきましては、国が、低潮線保全区域の定期的な船舶等による巡回、あるいは衛星写真によりまして調査を行っております。これまでのところ、違反行為や低潮線の後退は確認をされておりません。また、この小笠原地域につきましては、沖ノ鳥島あるいは南鳥島という重要な拠点がございますので、これについて、その活動の拠点となる港湾施設の整備を鋭意進めているところでございます。政府といたしましては、今後とも、関係省庁が十分に連携をしながら、これら海洋基本計画の推進あるいは海洋立国の推進に向けまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○國場幸之助委員 続きまして、小笠原諸島の振興とは直接関係ないかもしれませんけれども、小笠原諸島の中にある硫黄島の遺骨収集についてお尋ねをしたいと思います。沖縄も同様でありますけれども、不発弾の処理や遺骨収集、振興の前提となる歴史を踏まえて、無念の思いでお亡くなりになった方々に対する国としての責務、配慮、恒久平和の祈りというものは極めて大切だと考えております。日本の最南端を守り抜かれた、小笠原の地でとうとい命を失われた方々の一日も早い遺骨収集についての政府の決意をお聞きしたいと思います。

○古都賢一政府参考人 お答え申し上げます。先生御指摘のように、戦没者の御遺骨の収容は国の責務でありまして、悲惨な戦争を繰り返さないためにも全ての戦域で進めることが大変重要であると考えております。特に硫黄島につきましては、日本の領土であるにもかかわらず、今日まで一万三百十三柱が収容されたところでございますけれども、いまだ国内最多の約一万二千柱が未収容であるという状況にございます。平成二十五年度も、これまで計十一回の遺骨収集帰還団を派遣し、百六十六柱を収容したところでございます。今後の取り組みといたしましては、昨年十二月に硫黄島に係る遺骨収集帰還推進に関する関係省庁会議におきまして、硫黄島の滑走路地区等の遺骨収集帰還に関する基本的方針を取りまとめたところでございます。平成二十六年度からは、まず、滑走路地区等の遺骨収容に着手すること、また、硫黄島東部から西部の外周道路外側の開削調査、収容作業についても並行して実施すること、さらに、平成二十五年度までにわかりました新たなごうにつきましても遺骨収容作業を実施するということにしておりまして、厚生労働省といたしましても、引き続き関係省庁と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○國場幸之助委員 時間がもう一分ぐらいしかありませんので、あと、小笠原諸島の最初の議事録から出ておりました空港整備について、田村局長もお見えでございますが、多くの委員からも指摘がありました。やはり、離島にとりまして空港というのはライフラインそのものでございますので、その実現に向けての力強い取り組み。そして、星野自然環境局長もお見えでございますが、沖縄も奄美と世界自然遺産に登録の予定でございます。しかし、そういう中におきまして、やはり自然との共生、つまり、入域を数という部分で達成するのも大切ではありますけれども、持続可能な生態系、自然環境というものは何なのか、そういう哲学のある振興というものを今後追求しなければならないと考えております。そして、外来種に対する問題や、沖縄も共通でありますけれども、エコツーリズム等が今後盛んになってまいりますと、例えば在来種であるハブの問題とか、そういったものもこれは考えていかなければいけないテーマの一つになると思いますので、その課題を指摘しまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。